第10回大会
実践発表(大会実行委員会企画)
日時: 11月24日(月)10:00~12:00
現場の実践について,具体的に詳しく発表していただきます。「学級」,「学校」,「地域」の3種類のレベルでの実践事例について,発表いただくことを計画しております。その報告について,コメンテーターを交えてディスカッションします。発表とディスカッションを通して,現場の実践から「成功の鍵」や「試行錯誤」を含めて深く学ぶ時間にしたいと考えています。「学校心理学」の考え方を使って実践を見直してみると,きっと新たな発見があるでしょう!
<第I会場> 子ども・保護者への援助の実践から
発表者: | 本多聡子(公立小学校教諭)、三野輪敦(私立学校相談室担当者) |
コメンテーター: | 笹本恵美子(公立小学校教諭)、難波博子(神奈川県鎌倉市教育センター) |
司会: | 青野勇(新潟県スクールカウンセラー) |
学級における苦戦している子どもの援助や、保護者とのパートナーシップづくりについての実際について、苦戦や迷いも含めて報告していただきます。一人ひとりの子どもに関する援助を学級でどう行うか・・・。小学校の学級経営の立場と、中・高等学校の校内相談室からの援助という2つの側面から検討します。
<第II会場> 学校づくりの実践から
発表者: | 鴨志田和子(茨城県立鹿島灘高等学校) |
コメンテーター: | 横島義昭(茨城県立教育庁高校教育課)、伊澤成男(作新学院大学) |
司会: | 萩谷孝男(茨城県教育研修センター) |
公立高等学校の学校づくりの実践を取り上げます。ソーシャルスキル獲得を促進する授業実践から苦戦している子どもへのカウンセリングまで、一次的援助サービス、二次的援助サービス、三次的援助サービスを統合的に、計画的におこなう学校づくりについて報告していただきます。小・中学校の学校づくりも視野に入れて、ディスカッションをおこないます。
<第III会場> 地域の援助資源を活用した特別支援教育の実践から
発表者: | 茅野理恵(茨城県龍ヶ崎市教育センター)、奥村美由・黄木悦子・田中ゆか(神奈川県スクールサイコロジストチーム) |
コメンテーター: | 永松裕希(信州大学)、名古屋学(神奈川県立平塚養護学校) |
司会: | 大野精一(日本教育大学院大学) |
小・中・高等学校における特別支援教育の実践を、地域資源である特別支援学校などとの連携によって、どのように充実させていったかについて発表していただきます。特別支援教育のコーディネーターを中心として、学校がどのように地域資源を活用するかに焦点を当ててディスカッションをおこないます。
記念講演
- 日程
- 11月23日(日) 午前9:45~11:45
- 講師
- 石隈利紀先生(いしくま としのり)
(筑波大学附属学校教育局・本学会理事長) - 演題
- 学校を変える子供たち
-ひとりの支援が、みんなの支援-
LD・ADHD・高機能自閉症などの発達障害により、苦戦している子どもがいます。子どもの苦戦は、不登校、非行などとして表れています。私たち、教師、保護者、スクールカウンセラーらは、子どもの教育ニーズに応じるよう援助を行います。
例えばある中学校では、LDのある中学生のために(生徒全員に)電子辞書の使用を認めました。そして、英語担当の先生が、電子辞書の使い方と面白さ、同時に紙の辞書の使い方と面白さを伝える授業を行いました。その結果、英語に関心のある生徒が増えました。またある小学校では、読み書きの困難がある子どもがコックになる夢をもっているので、料理の本で読み書きの練習をする案をたてました。そしてその子どもが料理の本で学習することが特別にならないよう、まず好きな本をもってきて国語の学習する「本を楽しむ週間」を実施しました。その結果、読書が好きな子どもが増えました。
苦戦する子どもひとりへの支援を多様な子どもがいる学級・学校で行うとき、①その子どもへの支援が全体の支援にとって促進的であるか(マイナスにならないか)を考えます。また②苦戦する子どもへの支援から、学級経営に活かせることを考えます。
ひとりの支援は、みんなの支援のなかで行われます。そしてひとりの支援は、みんなの支援を豊かにするものです。LDなど苦戦している子どもは、学校を豊かな環境に変える子どもたちです。