メッセージ

被災した児童生徒のみなさん

日本学校心理学会理事長  石隈利紀(いしくま としのり)

今回の地震で被災(ひさい)したみなさんに、心からお見舞い申し上げます。みなさんのご無事をお祈りするとともに、一日でも早い回復をお祈りします。

自然災害は、思いがけないできごとで、心が激しくゆさぶられます。地震でこわい体験をしたり、家や建物がこわれたりして、どうしてよいかわからない気持ちになっている人もいると思います。今もなお、余震(よしん)や原子力発電所の問題で、不安に感じているのではないかと思います。私が住む茨城県も、毎日のように、余震があります。

みなさんは、このようなとき、いらいらしたり、食欲が落ちたり、眠れなくなったりするかもしれません。心配いりません。これらの変化が起こるのは、とても普通のことです。「とてもきけんな状況」に、「心がきちんと反応している」からです。時間とともに、落ち着いていきます。
できれば、自分の気持ちや今回の災害(さいがい)について、友だちや周りの人に話すといいですね。自分の気持ちや自分に起こっていることを理解することで、落ち着いてきます。
そしてこれまで、こわかったり、混乱(こんらん)したりしたときに、あなたはどのようにしたか、思い出してみてください。うまくいった方法や自分にあった方法があれば、今回もそれを使ってみたらどうですか。もしよい方法が見つからないときは、友だちや周りの人に聞いてみましょう。

もし避難所(ひなんじょ)や仮設住宅(かせつじゅうたく)に行くときは、自分の好きなものをもっていくとよいと思います。 学校は、みなさんにとって、なれてよく知っているところです。また友だちに会える場所であり、先生方から援助を受けることのできる場所ですね。早く学校に戻れるといいですね。

みなさんの生活が、早くもとのように落ち着くことを祈っています。体を大切にして、過ごしてくださいね。

先生方や保護者のみなさま

日本学校心理学会理事長  石隈利紀(筑波大学)

東日本大震災において被災された方々へ心からお見舞い申し上げます。みなさまのご無事をお祈りするとともに、一日でも早い回復・復興をお祈りします。

自然災害は、衝撃的な体験です。地震で、怖い体験をし、自宅や地域が破壊されることは、大人にとってもそうですが、子どもにとっては、よりいっそう危機的な状況です。今もなお余震の怖さや原子力発電所の問題で、不安に感じているのではないかと思います。

子どもは、危機的な状況で、どのように対処しようかということを、身近な大人から学ぼうとします。先生方や保護者は、子どものそばにいて、「大丈夫だよ」と言ってあげてください。子どもを安心させることが、重要です。子どもは、食欲が落ちたり、大人にまとわりついたりすることがありますが、これは「危機的な状況」における「正常な反応」です。時間とともに落ち着いていきます。

>学校は、子どもにとって、なじみのある環境です。また友だちに会える場所であり、先生方から援助を受けることのできる場所であります。ご家族の援助と学校での援助を通して、子どもたちは日常の生活に、少しずつ戻っていきます。先生方は、震災という「恐ろしい経験」を、仲間と支え合って生きる「学習体験」にすることができます。

少しだけ、つけ加えたいと思います。もし子どもの様子で気になる場合は、教育相談担当の先生、養護教諭の先生、スクールカウンセラー、またはお医者さんに相談してください。また先生方や保護者の方々が、ご自分の時間をもち、気持ちをケアすること、無理をしないことが大切です。ご自分の経験を周りの人に話すことをすすめます。子どもへの援助は、チームで進めましょう。 

PS:日本学校心理学会では、少しでもみなさまのお役に立ちたいと思っています。HPに参考となる資料を掲載します。

カウフマン博士ご夫妻からのメッセージ

アラン・カウフマン博士、ネイディーン・カウフマン博士ご夫妻(エール大学)からメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

Dear Japanese Friends

We appreciate the trauma you have all been going through and continue to experience. We saw videos of the devastation from the tsunami and they are chilling and horrifying. Our thoughts and love are constantly with you and your family and friends. Please tell us how we can help.

Please use the help and support of the talented and caring school psychologists who are offering leadership during the painfully difficult recovery process. We are proud of our international colleagues and offer our sincerest empathy.

All our love,  Nadeen and Alan Kaufman

(日本語訳)

日本のみなさま

みなさまが経験されている衝撃的な出来事が、いかに大変であるか、私たちにも理解できます。私たちは、津波のもたらす惨状をビデオで見ました。それは体が凍るほど、怖いものです。

私たちの思いと愛は、いつも、あなた方、そしてあなた方のご家族や友人と共にあります。私たちが、どのように助けになれるか、教えてください。

どうか日本の優秀で思いやりのある学校心理士の援助を、活用してください。かれらは、この痛い程困難な、回復をめざす過程において、リーダーシップを発揮すると思います。私たちは、日本の学校心理士の仲間を誇りに思っています。

心からの共感をお伝えしたいと思います。

愛をこめて

ネイディーン・カウフマン   アラン・カウフマン

付記
カウフマン博士ご夫妻は、9月17日(土)~19日(月・祝)開催の日本LD学会第20回大会(筑波大学主催、会場:跡見女子学園大学)において、記念講演のスピーカーで来日されます。