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学校心理学研究とは

『学校心理学研究』は、学校心理学に基づく心理教育的援助サービスの発展に寄与する論文を掲載する学術雑誌です。現場の実践と、理論や研究がより良い相互作用のもとに、相互に発展していくことに寄与したいと願っています。

1.主な論文のテーマ

学校心理学研究では、主として以下のようなテーマについての論文を期待しております。

(1)
心理教育的援助サービスの理論や技法に関する論文
子どもや学校の状況についてのアセスメント,子どもへの直接的なサービス(カウンセリング),異なる専門性や役割をもつ者が協働で援助にあたるためのコンサルテーション・相互コンサルテーション,援助者と援助サービスのコーディネーションなどに関する研究です。心理教育的援助サービスの理論や技法はまだ発展途上にあり,多くの研究が期待されます。
(2)
心理教育的援助サービスによって援助する,子どもの学習や発達および行動,教師・保護者・スクールカウンセラーなど援助者の行動,そして学級や学校に関する論文
心理教育的援助サービスを充実させるためには,援助の対象となる子ども・教師・保護者,学級や学校について研究する必要があります。心理教育的援助サービスの実践者や研究者によるこれらの研究は意義の大きいものです。
(3)
心理教育的援助サービスのシステムおよびその基盤としての学校教育のシステム,そして教師や学校心理士等の制度に関する論文
子どもの発達を授業や特別活動を通して援助することから,不登校に関する援助や発達障害のある子どもへの特別支援教育まで,心理教育的援助サービスの必要性への認識は高まってきました。一方,スクールカウンセラーの活用や特別支援教育制度の改革など,学校教育のシステムは大きく変わってきています。チーム援助や校内支援委員会,生徒指導・教育相談および学校保健に関する校内体制,学校心理士等の専門的ヘルパーの役割と資格などについての研究は,社会的なニーズが大きいといえます。
(4)
心理教育的援助サービスの実践や研究に用いる,尺度・検査の開発と信頼性・妥当性に関する研究
日本の心理教育的援助サービス研究の一つの限界は,実践や研究の際使用する尺度についての研究が少ないことです。例えばWISCやK-ABCなどの心理検査,子どもの行動を観察するチェックリスト,学級の状況を把握する尺度について,測定しようとする概念の理論的基盤,尺度の信頼性と構成概念妥当性・内容的妥当性・基準関連妥当性,さらに尺度の活用に関する研究に期待するところ大です。

2.実践への寄与に関して

なお、『学校心理学研究』では、実践への寄与を極めて重視しております。調査研究や展望論文においても、結果に基づいて実践への示唆について考察することが求められます。

また、論文種別として「実践報告」という種別を設けてあります。「実践報告」は,心理教育的援助サービスの実践についての報告です。そのため、結果の普遍性や理論的考察を重視するものではありません。実践について事実関係が具体的に分かるような丁寧な報告が重要です。そして、その実践を振り返って自己評価を行うことが求められます。理論に基づく検討は、読者にゆだねられております。『学校心理学研究』では、「実践報告」も重要な論文であると考えています。