第15回大会

ポスター発表について

9月15日(日)

ポスター発表  10:10~12:10

【Aグループ】(いじめ・不登校と学校適応)

A1
五十嵐哲也(愛知教育大学)
研究発表「所属学級の状態による小学生の不登校傾向の違い」
 個々の児童の学級内での位置づけや,学級全体の特徴が,各児童の不登校傾向とどのように関連しているのかという点を明らかにするため,541名の児童を対象に,QU及び不登校傾向に関する調査を行った。その結果,各児童の学級満足感が高ければ各児童の不登校傾向が低く,学級満足感の高い児童が多い学級に所属している児童の不登校傾向が低いことが明らかとなった。また,これは不登校傾向の質的差異によって異ならないことも示された。

(心理社会面・カウンセリング)

A2
吉村美佐子(東京農業大学第三高等学校・同附属中学校スクールカウンセラー) 家近早苗 ( 聖徳大学)
研究発表「不登校などの問題状況にいる子どもの保護者が援助者の援助を受け入れるプロセス」
 本研究の目的は、保護者がSCや相談委員などの援助をどのように受け止めているのかを検討することであった。SCや相談員から継続して1年以上援助を受けた保護者16名に対し、半構造化面接を実施し、M-GTAによる分析の結果 「来談時の保護者の不安」「親の思いの尊重」「援助の方法」「支え」「子どもと保護者の変容」の5つのカテゴリーが生成された。保護者の不安の特徴が明らかになり、保護者は親の心情を尊重した援助や、学校理解を促す援助を受け止めながら変容していくことが示された。

(カウンセリング・コンサルテーション・役割的ヘルパー)

A3
山中大貴(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 平石賢二(名古屋大学大学院教育発達
研究発表「中学生におけるいじめ被害時の教師への援助要請-いじめの種類による援助要請と深刻度の違い-」
 中学生がいじめを受けた際どの程度教師に相談するかについて,身体的いじめ,言語的いじめ,関係性いじめの3種類のいじめによって違いがあるかどうかについて検討した。またこの時,いじめの種類によって生徒の認知したいじめの深刻度が異なるか同課についても検討した。その結果,身体的いじめが,他のいじめと比べ,もっとも深刻であると認知されており,さらにこのようないじめを受けた際に教師への援助要請が最も高かった。

(心理社会面・一次的援助サービス・役割的ヘルパー)

A4
田中展史(福岡市教育委員会)
研究発表「不登校児童生徒を対象にした個別支援計画の活用-適用指導教室での実践を通して-」
 適応指導教室は不登校児童生徒の学校復帰、社会的自立を支援するための教育機関である。適応指導教室では、個々の援助ニーズに基づいた支援目標を設定し,チームで協働した援助が大切だと考えられる。本研究では、個別支援計画を中心にしたチーム援助の実際について報告する。

(心理教育的アセスメント・三次的援助サービス)

A5
鈴木和実(跡見学園女子大学大学院) 山口豊一(跡見学園女子大学)
研究発表「児童の過剰適応と学校生活についての研究-過剰適応に関する尺度の小学生版作成のための質問項目の収集・選定-
 学校生活において児童生徒の中にはいじめ、不登校、摂食障害などの問題を抱えるものが多くいるが、過剰適応が原因の一つとして考えられることを阿小島(2012)は示唆している。学校生活への適応については数々の研究がなされてきたが、過剰適応についての研究はまだ少ない。今回は小学校での過剰適応に関する質問紙を作成し、学校生活スキルとの関連について明らかにしたい。また、過剰適応的傾向はある側面では適応的に作用するという研究もあるため(石津・安保 2008)、過剰適応とQOLとの関連についても検討する。

(心理社会面)

A6
宮本秀男(前県立高等学校校長)
事例発表「反社会的問題傾向のある生徒へのチーム援助」
 本人のアセスメントに基づき、規則正しい生活が必要と判断した。本人が抱える問題の大きさから、学校や家庭では対応しきれないと判断し医療少年院収監が適切ではないかと判断し、適切な援助とアセスメントのために学校や関係機関と連携した。身体的虐待、ネグレクト、心的外傷、混乱の体験があったと思われる。感情や不安を整理する時期を経ずに、直線的に思春期らしきものへ駆り立てられた(家庭が学校が潜伏期の経験をさせてこなかった)。決まった日課や規則正しい生活は潜伏期の中期には重要であるのにその経験が抜け落ちていた。具象的な見方から、抽象的な考えの領域に移行できなかった。などが要因かと思われる事例について検証したい。

(心理教育的アセスメント・コンサルテーション)

A7
野村あすか(名古屋大学) 坪井裕子(人間環境大学) 鈴木伸子(愛知教育大学) 垣内圭子(名古屋大学) 大矢優花(名古屋大学) 松本真理子(名古屋大学) 森田美弥子(名古屋大学)
研究発表「中学生のひきこもり傾向児における自己像と対人関係に関する多面的アプローチ -質問紙法と投影法を用いて-」
 中学校2年生339名に自己評定式質問紙を実施してひきこもり傾向児12名を抽出し,うち9名(男子2名,女子7名)の自己像と対人関係に関して多面的アプローチによる検討を行った。質問紙からは,QOLが全体的に低いことや,攻撃性の程度は事例により異なることが示された。動的学校画や文章完成法では,いずれの事例も適応に困難を抱えていることが認められ,男子は無気力,女子は孤立傾向を示唆する内容が多かった。

(心理社会面・二次的援助サービス・心理教育的アセスメント)

A8
湯浅俊夫(横浜市SC、綾瀬市SC、一橋大学非常勤講師)
事例発表「「いじめとPTSD」を考え、加害者教育を考える -「いじめ授業書」の作成と実施-」
 いじめをなくそうと唱えても、いじめは簡単にはなくならない。では、児童・生徒向けにどのような心理教育が可能か。そのテキストを「授業書 心の傷を考える」という形で示し(すぐに、誰にでも使える)、それを実施して子どもたちの考え方がどう変わったかを明らかにする。

(心理社会面・一次的援助サービス)

A9
小栗貴弘(目白大学人間学部)
研究発表「高校生の中途退学予防に関する実践研究(3)-援助チームによる三次予防に焦点を当てて-」
 近年,高校生における中退者の割合は2%前後を推移している一方で,定時制高校に限ると10%前後を推移しており,教育困難校における中退率の問題はより深刻な状況にあると言える。本研究では,A高校定時制における中退予防に関する活動のうち,援助チームによる三次予防に焦点を当てて考察した。その結果,家族サポートを得る上での困難や,専門機関との連携の難しさなど,高校における三次予防の課題が示唆された。

(三次的援助サービス・複合的ヘルパー・役割的ヘルパー)

A10
鈴木伸子(愛知教育大学) 垣内圭子( 名古屋大学) 坪井裕子(人間環境大学) 野村あすか(名古屋大学) 大矢優花(名古屋大学) 松本真理子( 名古屋大学) 森田美弥子(名古屋大学)
研究発表「授業中の対人葛藤場面における中学生の解決方法と心の健康-動的学校画 (Kinetic School Drawing: KSD)の描画特徴と質問紙調査との関連から-」
 本研究では,授業中の対人葛藤場面における中学生の解決方法と心の健康について検討した。中学2年生195名に対人葛藤解決に関する質問紙調査を実施したところ,2場面に一致して"先生に決めてもらう"方法を用いると回答した生徒は5名(男子2名,女子3名)であった。彼らのKSDは,自己像が小さく(5例),人物像は棒人間か簡略化,輪郭のみ(4例)で描かれていた。また女子2事例は,質問紙調査において高い攻撃性を示した。

(一次的援助サービス・心理教育的アセスメント)

【Bグループ】(心理社会的行動)

B1
樽木靖夫(帝京科学大学)
研究発表「大学生の集団活動への動機を高める試み」
 本研究は、大学の授業において大学生の集団活動への動機を高める試みの有用性について検討した。大学生144名を対象に、映像教材を用い、集団活動の意味・効果を感じられる場面に解説を加えた授業を行い、その事前・事後に集団行動へのモチベーションおよび対処方略尺度を測定した。その結果、集団活動への動機、集団活動での役割で得点上昇、集団活動への方略のなさで得点下降した。

(心理社会面・一次的援助サービス)

B2
成田絵吏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 森田美弥子(名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
研究発表「大学生における進路選択と親のサポートとの関連」
 親は子どもにとって身近な働く大人のモデル,サポート源である。本研究においては大学生の進路選択に関する自己効力と進路に関する親のサポートとの関連を検討した。進路選択自己効力について平均以上を高群,平均未満を低群として進路に関するサポートを比較検討をした結果,進路選択自己効力高群の方が低群よりもサポートを多く得ていたという知見が得られた。

(心理社会面・進路面・役割ヘルパー)

B3
藤原正光(文教大学教育学部) 石田彩香(さいたま市立三橋保育園)
研究発表「大学生の孫からみた祖父母との対人関係認知 -性別、同居・非同居、関係性の好悪に着目して-」
 大学生234名を対象に、祖父母との心理的関係について調査研究を行った。祖父母との関わりに関する30項目の因子分析の結果、因子1(11項目 世代継承・生き方)、因子2(7項目 日常的・情緒的援助)、因子3(6項目 存在の受容)、因子4(5項目 親代わりの世話役)が抽出された。①同居の方がすべての因子で高い評価得点がえられ、②因子間では、因子2が最も高い得点を示していた。つまり、孫は祖父母から「日常的・情緒的援助」を受けていると最も強く感じているといえよう。

(心理社会面)

B4
西井香純(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 窪田由紀(名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
研究発表 「女子青年における自己受容性が痩身願望,抑制的・情動的食行動に与える影響-ソーシャル・サポートおよび公的自意識に着目して-」
 痩身願望が抑制的・情動的食行動を高め,自己受容性が痩身願望を抑制し,ソーシャル・サポート(SS)が自己受容性を高めるというモデルを想定し,大学生を対象に検討した。共分散構造分析の結果,モデルは概ね支持されたが,SSから痩身願望への仮定していない正の影響がみられた。そこで,SS は公的自意識を媒介することで痩身願望を高めるというモデルを想定し,再度女子大学生を対象に調査した結果,SSは直接痩身願望を高めるというよりも,公的自意識を媒介し痩身願望を高めることが示唆された。

(心理社会面・健康面)

B5
大野美佐子(板橋区巡回指導講師) 石隈利紀(筑波大学)
研究発表「専門学校の授業でのふり返りとフィードバックが学生の授業の意味づけに与える影響」
 学生が学校生活を継続できるためには、授業という場に折り合う力が必要となる。特に将来の職業と授業が密接につながる専門学校では、授業に参加する自分なりの意味づけができることが教育的な意味をもつ。本研究では、専門学校生が授業の場に折り合う力を育てる一つの方法として、授業場面での学生自身のふり返りと教員からのフィードバックを行う実践を通して、授業に対する学生の意味づけがどのように変化したのかを検討する。

(一次的援助サービス)

B6
後藤綾文(三重大学学生総合支援センター)
研究発表「大学生の悩みに対する信念の特徴」
 本研究の目的は、大学生が悩み・悩むことに関して抱く信念を整理し、特徴を明らかにすることである。大学生96名に対し、「悩んでいる時間は」「悩むことで」などに続く文章を尋ねる文章完成法(SCT)が用いられた質問紙に回答を求めた。文章完成法は、①悩みとの関わり方、②悩みに関する時間的展望、③悩むことの意味・価値観、④他者との同一視について尋ねる全13項目から構成される。それぞれへの回答内容を分類し、出現頻度を検討した。

(心理社会面・ボランティアヘルパー)

B7
杉本希映(目白大学人間学部) 黒沢幸子(目白大学人間学部)
事例発表「大学生による学校支援ボランティアについての事例検討」
 本発表は、心理学部の学生による学校支援ボランティア活動の事例を報告することを目的とする。大学が教育委員会と連携し、学生を学校支援ボランティアとして派遣し、授業を通して1年間サポートするシステムを紹介するとともに、 学生、ボランティア活用教員、管理職に対して実施したアンケート調査の結果を踏まえながら、活用により生じた変化について検討する。

(ボランティアヘルパー)

B8
椙浦結香(名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
研究発表「中学生のクラスにおける居場所感と評価懸念との関連-承認される経験と傷つけられる経験に着目して-」
 本研究では,中学生の学級での居場所感を高める要因として,評価懸念と級友から承認されるまたは傷つけられる経験の認知を想定し,男女別・学年別にモデルを検証した。パス解析の結果,中学生全体で級友からの承認経験を多く認知することが居場所感に正の影響を及ぼしていた。また,評価懸念が傷つき経験を多く認知させ,それが承認経験の認知を阻害する間接的な影響も示唆された。加えて,2年生および女子では傷つき経験が居場所感に直接負の影響を及ぼしていた。

(心理社会面・一次的援助サービス)

B9
野地麻奈美(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 河野荘子(名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
研究発表「青年期女子におけるひとりぼっち回避規範が同調行動及び自集団適応感に与える影響 ―主観的集団内地位による検討―」
 本研究の目的は、女子高校生を対象に、「ひとりぼっち回避規範」が同調行動に及ぼす影響(①)、さらに同調行動が自集団適応感に及ぼす影響(②)について、主観的集団内地位(中心地位群、周辺地位群、階層性なし群の3水準) ごとに検討することである。質問紙調査を女子高校生を対象に実施し、406名の回答を多母集団同時分析によるパス解析で分析した結果、周辺地位群において①の正の影響、中心地位群及び階層性なし群において②の負の影響がそれぞれ示された。

(心理社会面・一次的援助サービス)

B10
大矢優花(名古屋大学) 畠垣智恵(静岡大学) 坪井裕子(人間環境大学) 鈴木伸子(愛知教育大学) 野村あすか(名古屋大学) 垣内圭子(名古屋大学) 松本真理子(名古屋大学) 森田美弥子(名古屋大学)
研究発表「小中学生における「わたし」イメージ-イメージ連想法(IAM)を用いて-」
 本研究では,小中学生における自己イメージについて学年および性別ごとに比較検討した。小4,小6,中2の児童生徒1098名を対象に,イメージ連想法(IAM)を用いて「わたし」という言葉を見て思いつくことを書くよう教示した。クラスター分析の結果,学年や性別によって異なるクラスターの特徴が認められた。特に小4は好き嫌いに関する記述が多く,学年の上昇に伴い男子は属性,女子は自己の内面に関する記述が増える特徴が認められた。

(心理社会面・心理教育的アセスメント)

B11
伊藤萌(梅花女子大学心理臨床学研究所) 太田仁(梅花女子大学)
研究発表 「思春期・青年期の学校経験による援助要請指向性-中学・高校・定時制高校における援助要請-」
 本研究は中学生・全日制の高校生・定時制の高校生を対象としたスクールカウンセラーへの援助要請の現状について検討することを目的とした。具体的には、中学生・全日制の高校生・定時制の高校生の抑うつ傾向・心理専門職への援助要請に対する態度・学校生活スキルの各項目に対して平均値の差の比較を行なった。また、所属別に抑うつ傾向と心理専門職への援助要請に対する態度尺度の各因子、抑うつ傾向と学校生活スキル尺度の各因子、心理専門職への援助要請に対する態度尺度の各因子と学校生活スキル尺度の各因子において、それぞれがどのように関連しているのかについて検討をした。 (心理社会面・健康面・一次的援助サービス)
B12
牛丸涼香(名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
研究発表「幼児におけるシャイネスと愛情関係(affective relationships)との関連」
 幼稚園や保育園において,人見知りの強い子どもや集団活動の苦手な子どもがしばしば気になる子どもとしてあげられることがある。本研究は,108名の年長児を対象に対人不適応のリスク因子のひとつであるシャイネスおよびその類似概念である社会的無関心と特定対象への愛情の欲求に依拠する対人関係である愛情関係(affective relationships)との関連を検討した。質問紙法でシャイネス・社会的無関心の測定を行い,被験児に絵カードを用いた面接法を実施して愛情関係型を測定した。その結果,愛情関係は両親型,母親型,分類不能型などの6型に分かれ,母親に多く愛情の欲求を向ける母親型は両親型,分類不能型と比べシャイネスが高く,特定対象をあげない傾向のある子どもはそうでない子どもより社会的無関心が高かった。さらに,複数の対象に結びつく幼児はそうでない幼児よりもシャイネスが低かった。以上より母親だけでなく複数の対象と交流を持つことがシャイネスの低減にかかわっているといえる。

(心理社会面)

【Cグループ】(防災教育と学校危機)

C1
鈴木美樹江(名古屋大学心の減災研究会,金城学院大学心理臨床相談室) 霜山祥子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 栗本真希(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 坪井裕子(名古屋大学心の減災研究会,人間環境大学) 松本真理子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 森田美弥子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 窪田由紀(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
研究発表「教員を対象にした防災教育と心の減災教育に関する現状とニーズ―教員向けニーズ調査の自由記 述から(1)―」
 本発表では,防災教育と心の減災教育に関する現状とニーズを把握するために質問紙調査を実施し,自由記述欄に回答した教員337名分のデータをKJ法にて分析した。その結果,「理念」「避難訓練」等の【防災教育】に関するカテゴリー,「必要性」「方法」等の【心の減災】に関するカテゴリー,「ニーズ」「不安」等の【教員】に関するカテゴリーに分類された。防災教育における避難訓練等の課題点,及び心の減災教育の必要性が示された。

(心理社会面・一次的援助サービス)

C2
霜山祥子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 鈴木美樹江(名古屋大学心の減災研究会,金城学院大学心理臨床相談室) 栗本真希(名古屋大学心の減災研究会,金城学院大学心理臨床相談室) 坪井裕子(名古屋大学心の減災研究会,人間環境大学) 松本真理子((名古屋大学心の減災研究会,金城学院大学心理臨床相談室)) 窪田由紀((名古屋大学心の減災研究会,金城学院大学心理臨床相談室)) 森田美弥子((名古屋大学心の減災研究会,金城学院大学心理臨床相談室))
研究発表「教員を対象にした防災教育と心の減災教育に関する現状とニーズ-自由記述に見る教員の意識,不安とニーズ(2)-」
 本発表では,『教員を対象にした防災教育と心の減災教育に関する現状とニーズ(1)』で産出されたカテゴリー内容を詳細に分析した。特に教員の意識や不安に関する記載を中心に検討したところ, 防災教育の見直しを含め, 災害に備える必要性が教員に意識されている一方で,災害場面における教員の役割への不安, 個人的な不安が示された。避難所となる学校, 教員の役割, 災害時のストレス反応, 心理的援助について知りたいというニーズが高く, 教員向けの研修が必要であると考えられる。

(心理社会面・一時的援助サービス)

C3
浅井麻里(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 平島太郎(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 垣内圭子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 松本真理子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 森田美弥子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 坪井裕子(名古屋大学心の減災研究会,人間環境大学) 窪田由紀(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科
研究発表 「学校現場における防災教育と心理教育の必要性と現状の把握(1)-愛知県内の小中学校における自治体別の現状- 」
 現在の日本の教育現場に、心の健康支援を包含した防災教育プログラムを構築するため、学校現場における防災教育や心理教育の必要性と現状について、愛知県内の小中学校の教員を対象に質問紙調査を行った。自治体ごとに分析を行った結果、防災教育や心理教育について、必要性を感じているものの、現状としては防災や心理に関する教育を実施しておらず、それらに関する知識がないということが、どの自治体にも共通して見られ、必要性と現状との間に大きな差異があることがわかった。

(心理社会面・一次的援助サービス)

C4
垣内圭子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 平島太郎(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 浅井麻里(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 窪田由紀(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 坪井裕子(名古屋大学心の減災研究会,人間環境大学) 松本真理子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 森田美弥子(名古屋大学心の減災研究会,名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
研究発表「学校現場における防災教育と心理教育の必要性と現状の把握 (2)-愛知県内の小中学校における役職による比較-」
 現在の日本の教育現場に、心の健康支援を包含した防災教育プログラムを構築するため、学校現場における防災教育や心理教育の必要性と現状について、愛知県内の小中学校の教員を対象に質問紙調査を行った。役職ごとに分析を行った結果、防災教育や心理教育の必要性を感じてはいるものの、防災や心理に関する教育を実施しておらず、それらに関する知識がないという認識を持っていることがわかった。

(心理社会面・一次的援助サービス)

C5
伊藤なおみ(筑波大学心理・発達教育相談室) 石隈利紀(筑波大学)
研究発表「転校前の適応状況と転校後の課題への取り組みが児童の成長や適応に及ぼす影響」
 東日本大震災や経済不況、学校統廃合促進といった現代の社会背景の中、転校児童の心の危機に焦点を当てた適切な支援は不可欠である。そこで、4.5.6年の転校経験者280名を対象に質問紙により、転校前の学校適応状況や転校後の認知・感情・行動が、転校の結果としての成長や適応に及ぼす影響を探索的に検討した。その結果、転校前の学級での承認感と、転校後の自分のがんばりが、転校児童の成長・適応において重要な要因であることが確認された。

(心理社会面・二次的援助サービス)

C6
岩本豊一(津市役所)
研究発表「被災地に応援派遣された自治体職員に対する質的調査研究」
 東日本大震災の被災地市町に対して、全国から自治体職員の応援派遣等が行われている。これまで報道等は被災地の方々への支援関係が中心であったが、2013年1月、岩手県大槌町に復興支援で派遣されていた自治体職員の自殺が取り上げられた。派遣職員は、見知らぬ自治体で通常業務に加えて災害対応が付加された特殊環境において勤務している。本事案を契機に応援派遣された自治体職員に対して質的調査を行い、活動実状や課題等について考察する。

(心理社会面)

C7
篠原尚人(茨城県日立市立塙山小学校)
事例発表「荒れが見られる学級と担任への危機対応-生徒指導主事としての援助を通して-」
 学級担任にとって学級経営はとても大切な仕事の一つである。 しかし,新採の教師にとって学級経営を上手に行うことはとても難しいことである。特に学級に荒れが見られるようになり,教師の指示に子どもたちが従わない状態になると学級担任のストレスは大きい。このような状況になったときに生徒指導主事として,どのような援助ができるのか事例を通して考えてみたい。

(学習面・コンサルテーション・カウンセリング)

C8
林亜希恵(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 窪田由紀(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 丸山笑里佳(岡崎女子短期大学) 和田浩平(三河病院) 成田絵吏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 山中大貴(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 石川雅健(愛知学院大学)
事例発表「複数の学校危機を立て続けに体験した教師の心理的回復過程の検討-複線径路・等至性モデルを用いた学級担任の語りの分析から-」
 本研究は,児童本人の事故死,他の児童の保護者死亡を立て続けに経験した教師の心理的回復過程に焦点を当てたものである。2年後に当時の体験について,児童の学級担任に半構造化面接を実施し,複線径路・等至性モデル(TEM)を用いて分析した。事故を防ぐためにもっとこうすべきだったという思いを抱えながらも,種々の危機を乗り越えてきた自負や保護者死亡の児童担任と支え合うことで徐々に日常を取り戻していく担任の様子が窺えた。

(専門的ヘルパー・コンサルテーション)

C9
和田浩平(三河病院) 窪田由紀(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 丸山笑里佳(岡崎女子短期大学) 林亜希恵(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 成田絵吏(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 山中大貴(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 石川雅健( 愛知学院大学)
研究発表「複数の学校危機を立て続けに体験した教師の心理的回復過程の検討-複線径路・等至性モデルを用いた学究担任の語り口の分析から-」
 本研究は,児童本人の事故死、保護者の死亡を立て続けに経験した教師の心理的回復過程に焦点を当てたものである。当時の体験について,2年後,半構造化面接を実施し,複線径路等至性モデル (TEM) を用いて 分析した。その結果,情報が共有されないことによるストレスの大きさ、辛い状況下での精神的反応を当然とする臨床心理士の態度による支え、回復後も続く「何かできたのでは」という罪責感が特徴的に抽出された。

(コンサルテーション)

C10
小松代明子(兵庫教育大学大学院教育研究科) 佐藤美保(兵庫教育大学大学院教育研究科) 藤原忠雄(兵庫教育大学大学院)
研究発表「養護教諭のソーシャルサポート保有状況とストレス関連要因との関連
 教員のストレスは非常に深刻な状態にある。特に,東日本大震災・原発事故の影響を受けるとともにその復興への対応に追われている被災地域の教員は過度のストレスによる精神疾患の増加が懸念されている。こうした中,震災から2年目を迎えた被災地域の養護教諭に焦点をあて,そのソーシャルサポート保有状況 とストレス関連要因(職務ストレッサ-,特性被援助志向性,ストレス反応)について検討することとした。 また,被災地域と他地域との比較も併せて検討する。 

(心理社会面・健康面)

【Dグループ】(特別支援教育)

D1
小岩眞智子(函館短期大学) 新沼英明(函館短期大学)
研究発表「特別支援教育における教員と保護者の「ことば」に関する意識の比較」
 本論は、特別支援教育の推進に当たって教員と保護者の相互理解と連携を目途とし、両者の「ことば」に関する配慮意識に視点を当てる。具体的には、学校でよく聞かれる「ことば」20例を取り上げ、教員は「自分たちの使うことばは、特別支援教育の対象となる子どもや保護者を想定して配慮をしていか」、保護者は「教員や学校が使ってことばは、どの程度気になっているか」を比較し、双方の意識特性を明らかにするとともに意識差やずれについて把握する。

(心理社会面・心理教育的アセスメント・コンサルテーション)

D2
宮本秀雄(広島大学大学院教育学研究科) 米沢崇(広島大学大学院教育学研究科) 内村菜央(広島大学附属東雲小学校) 林孝(広島大学大学院教育学研究科)
研究発表「小学校における特別支援教育体制の実働状態に対する意識の経年変化と職位による差異」
 本研究では,小学校における特別支援教育体制の実働状態に対する意識の経年変化と職位による差異を検討した。2008年と2012年に公立小学校の校長,コーディネーター,学級担任を対象に調査を行った。その結果,実働状態に対する意識は,概ねコーディネーターが低く,校長が高い傾向が示された。また,「校内連携」や「支援検討」において,2008年では職位による意識の差が顕著にみられたのに対して,2012年ではあまりみられなかった。

(複合的ヘルパー)

D3
仲尾優里奈(名古屋大学大学院教育発達科学研究科) 松本真理子(名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
事例発表「通常の学級において特別な支援を必要とする児童の事例研究-主観的well-beingという観点から-」
 本研究の目的は,通常の学級において特別な支援を必要としている児童の主観的well-being(幸福感)のあり様と,それを向上できる学校生活のあり方について,事例を通して探索的に検討することにある。小学3年生の男児1名を対象に,約半年間にわたって週1 回の参与観察,およびQOL質問紙,動的学校画(KSD),面接を実施した。その結果,本児のように対人関係や学習面に苦手さを抱える要支援児にとって,現在の主観的well-beingには,自己の世界を守ることのできる読書などの活動とそれを保障できる空間の存在が大きく影響する可能性が示された。

(健康面・三次的援助サービス)

D4
坪井裕子(人間環境大学) 三後美紀(人間環境大学) 米澤由実子(人間環境大学) 柴田一匡(プティ・ヴィラージュ)
研究発表「児童福祉施設における性的問題に関する職員の意識について-情緒障害児短期治療施設の職種による検討-」
 本研究の目的は性的問題に関する施設職員の意識を明らかにすることである。情緒障害児短期治療施設の生活 職員(指導員・保育士),心理職,教員の計396人を対象に質問紙調査を行った。その結果,生活職員は心理職よりも指導の困難さを感じていること,心理職は他の職種より問題の背景にある対人関係に着目していることが明らかとなった。「問題の見えにくさ」については,生活職員・心理職と教員との間で認識の違いが示された。

(心理社会面・心理教育的アセスメント・コンサルテーション)

D5
磯川かなえ(跡見学園女子大学大学院臨床心理学専攻) 山口豊一(跡見学園女子大学)
研究発表「特別支援教諭及び特別支援教育教諭を目指す大学生のモチベーションを支える要因に関する研究」
 近年、文部科学省は2002年の全国実態調査を経て、2003年に「特殊教育」から「特別支援教育」への転換を図る方針を打ち立て、 発達障害の児童・生徒に注目が集まり、通常学級でも障害児教育が行われることとなった。その中で、特別支援の中での児童の様子や教師のメンタルヘルスについての研究は数多くなされているが、特別支援を行う教諭に焦点を当てた研究やモチベーションに関する研究はまだ数が少ない。そこで、本研究で特別支援教育を行うためのモチベーションを支える要因にはどのようなものがあるのかについて検討していく。

(心理社会面・カウンセリング)

D6
伊佐治智香子(公立小学校教諭)
事例発表「児童が自ら"ことば"を学び始める学習環境づくり」
 通級指導教室「ことばの教室」で,言語発達遅滞の児童を対象に行った漢字学習の事例から,言語表現を苦手とする児童たちが学習意欲を高め,自ら言葉を使おうとし始める学習環境とは,相互コミュニケーションという視点を持った教師のかかわり方と児童の特性を活かした学習活動であることがわかった。

(学習面・心理教育的アセスメント・学習援助)

【Eグループ】(教育相談体制)

E1
深澤大地(富山県総合教育センター)
研究発表「教師の教育相談能力向上のための研修について(2)」
 公的な教育相談機関では、教師が相談担当者となり、児童生徒や保護者などからの相談を受けることがある。深澤(2012)は教師に対して教育相談能力向上のための研修を行った結果、変化の実 感や、今後への意欲を感じたことがうかがわれる記述がみられた。しかし、これまでの教師としての経験に新たな視点が加わることで生じたズレがとまどいに繋がることも明らかになった。このことから、本研究では教育相談能力向上のための研修プログラムを修正、実施し、その効果について検証した。

(カウンセリング)

E2
佐々木円(跡見学園女子大学大学院) 山口豊一(跡見学園女子大学)
研究発表「心理職の活用及び教育相談体制と教員のメンタルヘルスに及ぼす影響」
 心理の専門家としてスクールカウンセラー(以下SC)が配置・派遣されて約20年が経つ今では、学校においてSCの存在は定着してきている。また、SCと教師が協働して児童・生徒の不登校問題やいじめ問題等にあたる機会も増えてきており、深刻化する子供の問題に、教師のみで対応しなければならない環境も変化しつつあると考えられる。本研究では、このように学校問題に対処する体制が整うことにより、教員のメンタルヘルスにどのような影響を与えているか調査・検討を行う。

(コンサルテーション・心理社会面)

E3
新井雅(筑波大学大学院人間総合科学研究科) 庄司一子(筑波大学人間系)
研究発表「心理専門職と教師の効果的協働に向けた事例アセスメントの比較検討-事例の変化・改善把握に焦点を当てて-」
 異なる専門性を持つ専門職が効果的に協働するためには、相互の事例理解(アセスメント)をすり合わせ、共有する作業が必要不可欠である。本研究では、事例アセスメントにおける「事例の変化や改善の程度を把握する視点」に焦点をあて、中学校の学校不適応事例に関与する心理専門職および教師それぞれの専門的視点を比較しながら、効果的な協働に向けての指針について検討する。

(心理教育的アセスメント・三次的援助サービス・心理社会面)

E4
相樂直子(筑波大学附属高校) 石隈利紀(筑波大学)
研究発表「養護教諭による生徒の資源の活用を促すコーディネーションモデルの実践的有効性の検証(2)」
 本研究の目的は、相樂・石隈 (2012) が生成した「養護教諭による生徒の資源の活用を促すコーディネーションモデル(以下コーディネーションモデル)」の実践的な有効性について検討を行うことである。方法は、A高校の養護教諭にコーディネーションモデルを活用した実践を行ってもらい、その内容に関する半構造化面接を行う。その結果、ほぼモデル通りの実践が行われ、ある程度のコーディネーションモデルの実践的有効性が確認された。

(健康面・三次的援助サービス)

E5
森山賢一(玉川大学) 柏賴英(茨城県学校教育相談研究会) 事例発表「今問われている関係的信頼(生徒指導)(1)-本質的信頼・契約的信頼・関係的信頼」
 最近「「いじめ」を始め,小・中学生の悲しい出来事が後を絶たない(3離4走的傾向)。何とかならなかったのかという残念さが込み上げてくる。心痛むこの頃である。そこで(1)Respect yourself.(自分の命,良さ,心を大切にすること。)(2)Respect others. (友人の命,良さ,心を大切にすること。)(3)Respect Ecology Service.(生態系サービスを大切にすること。)を基本に,教師,保護者,地域が手を携えて共に協力して子どもを守っていくことの重要性を強調したい。

(心理社会面・一次的援助サービス・二次的援助サービス)

E6
柏頼英(茨城県学校教育相談研究会) 森山賢一(玉川大学)
事例発表「今問われている関係的信頼(生徒指導)(2)」-不快に感じるストレスにどうつきあうか-」
 ストレスには「痛み」・「寒さ」や「寝不足」といった身体的ストレスと仕事のプレッシャーや人間関係のトラブルなどからくる「悲しみ」・「苦しみ」などの精神的ストレスの2種類がある。私たちは生きている限りストレスを感じながら生活している。私たちの脳は心身が不快に感じることは全て「ストレス」と認識する。そこで,なくすことのできない「ストレス」と私たちはどのようにつきあっていけばいいか。「ストレス=苦」を受けたとき,しっかりと対応できる人と押しつぶされてしまう人がいる。このことを基本に「関係的信頼」を構築するための学校や教師の在り様を追及したい。

(一次的援助サービス・二次的援助サービス・三次的援助サービス)

E7
田村節子(東京成徳大学応用心理学部) 飯田順子(東京成徳大学応用心理学部) 山口正寛(東京成徳大学応用心理学部)
研究発表「大学におけるコーディネーション委員会の援助活動モデルの生成-退学・休学予防の学内プロジェクトの実践を通して-」
 近年,大学では発達障害や精神疾患を有する学生など,援助ニーズの高い学生への支援が問題となっている。本研究では,そうした援助ニーズを抱える学生が多い大学において ,コーディネーターを中心に行った援助サービスの実践を基に,コーディネーターの活動がどのように大学全体の支援の充実につながったかということを示すモデルを提示し,実践の成果と今後の課題について考察する。

(一次的援助サービス・二次的援助サービス・三次的援助サービス)

E8
山田留美子(大妻嵐山中高スクールカウンセラー) 家近早苗(聖徳大学)
研究発表「スクールカウンセラー・相談員・教師が協力して行う子どもへの支援のプロセス-支援をする時の「やりにくさ」に焦点をあてて-」
 本研究の目的は,SC・相談員・教師が協力して子どもの支援をしていく上で感じる「やりにくさ」とその要因,およびそのような困難な状況をどのように修正しているかそのプロセス明らかにすることである。そこで,SC・相談員・教師(合計16名)を対象に半構造化面接を実施し,M-GTAにより分析した。その結果,3つの大カテゴリーが生成され,支援をする時の「やりにくさ」の状況とその修正には3つの段階を経ることが理解できた。

(三次的援助サービス・専門的ヘルパー・コンサルテーション)

【Fグループ】(心理教育プログラム)

F1
相澤亮雄(北九州市スクールカウンセラー) 山下陽平(北九州市スクールカウンセラー) 窪田由紀(名古屋大学) 稲田尚史(九州産業大学) 池田佳奈(北九州市スクールカウンセラー) 張彩虹(福原学園) 梶原律子(北九州市スクールカウンセラー)
研究発表「学校臨床における心理教育プログラムの内容分析-ストレスマネジメント教育プログラムの実施目的と演習の対応関係の明確化 その1- 」
 学校臨床における心理教育プログラムの内容分析による体系化の第一段階として、本研究ではストレスマネジメント教育プログラムを取りあげ、実施目的と演習の対応関係を検討した。ここでは、実施目的として「ストレス概念の理解」、「自己の特性の理解」、「心身の安定、成長促進」を取りあげた。その結果、「心身の安定、成長促進」を目的とした場合、特に中学校では顕在化している問題に対して心理教育を用いて取り組む意識が低いこと等が明らかになった。

(一次的援助サービス)

F2
池田佳奈(北九州市スクールカウンセラー)  山下陽平(北九州市スクールカウンセラー)  窪田由紀(名古屋大学) 相澤亮雄(北九州市スクールカウンセラー) 稲田尚史(九州産業大学) 張彩虹(福原学園) 梶原律子(北九州市スクールカウンセラー)
研究発表「学校臨床における心理教育プログラムの内容分析-ストレスマネジメント教育プログラムの実施目的と演習の対応関係の明確化 その2-」
 学校臨床における心理教育プログラムの内容分析による体系化の第一段階として、本研究ではストレスマネジメント教育プログラムを取りあげ、実施目的と演習の対応関係を明らかにした。ここでは、実施目的として「コーピングの獲得」、「ストレス耐性の強化」を取りあげた。その結果、「コーピングの獲得」を目的とした場合、視覚的に認識しやすいストレス反応に対する演習を取り扱いやすいこと等が明らかになった。

(一次的援助サービス)

F3
攪上哲夫(東洋大学大学院博士後期課程)
事例発表「児童生徒指導論の実践-「実践的指導力養成」の取り組み-」
 教職課程である児童生徒指導論を東京福祉大学で担当している。近年、教員養成の課題として実践的指導力、または実践的指導力の基礎をどのように学生に指導していくかが問われている。本研究発表では、「石隈・田村式援助シート」を活用した授業の報告を中心に児童生徒指導論の具体的な実践報告を行い、教員養成段階における生徒指導論の有り様について提案していきたい。

(学習面)

F4
須賀朋子(筑波大学大学院ヒューマン・ケア科学社会精神保健学) 森田展彰(筑波大学医学医療系社会精神保健学) 斎藤環(筑波大学医学医療系社会精神保健学)
研究発表「お互いを尊重し合う教育プログラム「DVとは何か」-高校生の共感性に着目をして-」
 都立中高一貫教育校において、発表者らで作成をした中学生・高校生向けのプログラム「お互いを尊重し合う教育プログラム 人間関係を大切にするために DVを知る」の介入授業を実施した。対象者は、中学1年生、2年生、3年生、高校1年生、2年生の、男女合計432名である。プログラム前、プログラム1週間後、プログラム1か月後で、生徒たちの共感性がどのように変化をしたかを、桜井(1988)の邦訳IRI(Inter personal Reactive Index)対人反応性指標の視点取得尺度の5項目で質問紙調査を行なった。発表ではプログラムの内容の紹介と、プログラムによる共感性の変化を報告する。本研究は筑波大學医の倫理委員会,684号の承認を得て行った。

(心理社会面・心理教育的アセスメント)

F5
山下陽平(北九州市スクールカウンセラー) 窪田由紀(名古屋大学) 相澤亮雄(北九州市スクールカウンセラー) 稲田尚史(九州産業大学) 池田佳奈(北九州市スクールカウンセラー) 張彩虹(福原学園) 梶原律子(北九州市スクールカウンセラー)
研究発表「学校臨床における心理教育プログラムの内容分析-ストレスマネジメント教育プログラムの実施目的、対象、講義・演習内容、効果検証方法に着目して-」
 学校臨床における心理教育プログラムの内容分析による体系化の第一段階として、本研究ではストレスマネジメント教育プログラムを取りあげ、実施目的、対象、講義・演習内容、効果検証方法に着目しながら、内容分析を行った。その結果、SSTやSGEのような各種の心理教育プログラムの名前がプログラム内で混在して使用されていた。さらにほぼ同じような内容の演習であっても異なるプログラム目的で実施されていることが多いことが明らかになった。

(一次的援助サービス)

F6
廣岡雅子(三重大学非常勤講師・三重県津市スクールカウンセラー)
事例発表「子どもの怒り感情に関するSST -アンガー・マネジメントの試み-」
「キレやすい子どもが増えた」といわれるが、大人でも持て余すような否定的感情、特に怒りの感情について、その性質や対応方法を児童がSSTとして学習しておけば、日常生活でキレる前に自分で適切に対処できるようになったり、人間関係を悪化させずにすんだりするはずである。本発表は、児童に実施した「イライラ虫をやっつけよう」というアンガーマネジメントのSSTプログラムの内容とその手応えを報告するものである。

(心理社会面・一次的援助サービス)

【Gグループ】(心理アセスメントと尺度)

G1
山田洋平(福岡教育大学) 小泉冷三(福岡教育大学)
研究発表「中学生版「社会性と情動(SEL)」尺度の開発-信頼性と妥当性の検討-」
 子どもの社会的能力の育成する取組の一つにSEL-8S(小泉,2011)という8つの社会的能力の育成をねらいとする包括的な心理教育プログラムがある。これまでにいくつかの実践がなされてきたが,SEL-8Sが包括的な取組であるため,効果測定においては,8つの社会的能力に対応する測定尺度が必要である。小学生版「社会性と情動」尺度は開発されている(田中他,2011)が,中学生版においては,その因子構造の概要が報告されているのみ(宮崎他,2005)で,十分な検討には至っていない。そこで本研究では,中学生版「社会性と情動」尺度の妥当性と信頼性を確認することを目的とした。

(心理社会面・心理教育的アセスメント)

G2
瀬戸美奈子 (三重大学)
研究発表「通常学級における「気になる子ども」のアセスメントの視点-大学生への調査より-」
 通常学級においては子どもの援助ニーズへの気づきが、個別支援のスタートになることが多い。ここでは教員養成大学における授業で、通常学級に在籍する困り感を抱えた児童の事例検討を行なった実践をもとに、教員志望の学生がどのような観点からアセスメントを行なっているかを分析し、早期に子どもの援助ニーズに気づくためにはどのような視点をもって子どもを理解するべきかについて検討する。

(心理教育アセスメント)

G3
兒玉裕巳(こども鎌倉臨床教育研究所) 相樂直子(筑波大学附属高等学校) 石隈利紀(筑波大学)
研究発表「自助資源・援助資源尺度の開発」
 学校心理学では問題状況の解決に役立つものとして自助資源と援助資源を援助チームで活用することを提唱している。本研究では、中学生と高校生が問題を解決するプロセスにおいて見出された資源の項目から質問紙を作成し調査を行った。中学生(N=593)と高校生(N=695)別に探索的因子分析を行ったところ、中高生ともに自助資源として3因子、援助資源として2因子が抽出され、一定程度の信頼性と妥当性を確認した。

(心理社会面・一次的援助サービス・心理教育的アセスメント)

G4
四辻伸吾(大阪教育大学附属平野小学校) 水野治久(大阪教育大学)
研究発表「小学生の自己成長意欲尺度の作成」
 小学生が自己成長に対して意欲的であるかどうかを調査するため ,小学生自己成長意欲尺度の作成行った。まず ,自由記述の回答からKJ法を用いて自己成長意欲尺度の原案を作成した。そして,小学校4~6年生302名に質問調査を行い,因子分析を行ったところ ,小学生自己成長意欲は〈行動成長意欲〉因子 ,〈コミュニケーション成長意欲〉因子,〈能力成長意欲〉因子の3因子で構成されていることが明らかとなった。

(心理社会面・心理教育アセスメント)