学校心理学のヒント

みなさまを「学校心理学」に招待します。

学校心理学の定義

 学校心理学とは,「学校教育において一人ひとりの子どもが学習面,心理・社会面,進路面,健康面などにおける課題の取り組みの過程で出会う問題状況の解決を援助し,子どもの成長を促進する「心理教育的援助サービス」の理論と実践を支える学問体系」です。
 心理教育的援助サービスの対象はすべての子どもであり,心理教育的援助サービスは教師,スクールカウンセラーなどからなる「チーム学校」が家庭・地域との連携で進めます。

学校心理学の意義

 すべての子どもが発達の過程で援助を必要としています。そして子どもの苦戦も多様です。不登校,いじめ,非行の問題は,子どもの学校生活の質を脅かしている。またLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),自閉症スペクトラム障害などの「発達障害の子どもへの援助が,注目されています。さらに児童虐待,子どもの貧困,自然災害など,学校教育の枠組み以外の出来事が子どもの育ちに影響を与えています。多様で複雑化している子どもの問題を援助するには,「チーム学校」と家庭・地域の連携が必須です。
 学校心理学は,生徒指導・教育相談,特別支援教育,学校保健などの領域を超えて,子どもの学校生活を援助する知見を総合的に論じ,援助サービスの向上のための,共通の枠組みを提供してきました。子どもの成長を促進する学校生活の質(Quality of School Life)を維持向上するために,学校心理学が求められると言えます。

学校心理学を学ぶ・活かす援助者:教育相談・特別支援教育の科目、公認心理師の科目

 学校心理学を学び活かすのは、「チーム学校」を担う人々です。具体的には、子どもの援助者である、教師、スクールカウンセラー、保護者であり、地域の専門家(医療・福祉・司法・産業領域など)です。とくに教育相談・生徒指導・特別支援教育の担当の先生方、養護教諭のみなさんです。
 「学校心理学」は大学では、教育学部・教育研究科の重要な科目です。教育相談・生徒指導・特別支援教育を実践する力をつける基盤になります。また心理学科・心理学研究科でも開設されています。公認心理師養成カリキュラムでは、学部では「教育・学校心理学」が必須科目となりました。大学院では「教育分野における理論と支援の展開」という科目を支えるのが「学校心理学」になります。

参考文献:
石隈利紀 1999 学校心理学―教師・スクールカウンセラー・保護者のチームによる心理教育的援助サービス 誠信書房
日本学校心理学会編 2016 学校心理学ハンドブックⅡ 教育出版